昔の時代劇は派手なシーンがありませんが、確かな演技と無理のない脚本で作られている名作が多いです。
顔だけやたら良い役者が不自然に飛んだり戦ったりする今どきの時代劇がほんと嫌いな私の様な方、是非昔の時代劇をご覧ください。
そのうちオススメしない時代劇一覧表でも作ろうかなあ、と思っているぐらい、最近の時代劇は駄作が多いです。

今回取り上げる「漢武大帝」は、14年前の時代劇です。
史記と漢書がベースになっていて、大筋その通りの流れです。
なので、若い頃は聡明な武帝が、年を重ねて老害になってしまうあたりは、見ていて辛いものがありますね。
なまじ絶対的な権力を持っているあたり、やっかいで面倒くさいクソジジイと化します。

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物語は、史記の作者である司馬遷と武帝の会話から始まります。
歴史家である司馬遷に対して、武帝が自分の生涯を思い出すという形で、ドラマは先代の景帝時代へとうつります。

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文帝、景帝の2代名君と言われる時代、後宮に君臨したのが文帝の正妻である竇(とう)皇后で、ドラマの主役になるぐらい存在感の大きな人でした。
所謂、出しゃばりというやつです。

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昔から中国では親や祖父母への孝行がとても大事で、皇帝も例外ではありません。
早い話、不孝者は民衆からの信用を失います。
なので、例え毒親でも母親を無下にはできない、という事情が景帝にはありました。
これは次代の武帝へも受け継がれてしまいます。

そもそも、武帝は長男ですらありませんでした。
数多くいる皇子の中から景帝が皇太子として最初に選んだのは、長男の劉栄です。
景帝は申し分のない跡継ぎを得ていたのですが、太子の母親である栗姫は頭の足りない女性で、とても皇帝の母親になれるようなタイプではなかったので、そこが悩みの種でした。
皇太子失脚の突破口は栗姫にありと見抜いた景帝周囲の女性たちが、あれやこれやを画策して、武帝が皇太子になったのです。
有名な話なので、知らない方はドラマを見てくださいね。

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ドラマでは、武帝が子供の頃に仲の良かった姉が匈奴に嫁がされたので、「何故、平和を得るために漢族の女性を犠牲にするという政策を続けているのか(=匈奴なんかやっちまえYO)」という思考になっていったと説明されています。
一理あるでしょう。
権力者にありがちな、「普通に戦争が好きなタイプだった」がファイナルアンサーだったのでは、と私は思っていますが。

まあそんな闘志溢れる武帝もお婆ちゃん(竇大后)存命時は戦争どころか内政も自由に改革できないため、我慢に我慢を重ねた青年時代を過ごしました。

周囲の人間が竇大后派の人間で固められていた若い頃、惚れた女性を妾にしたり、使えそうな男を将軍に立てたりと、少しずつ自分側の人間を増やしていきます。
有名なところでは、衛士夫と衛青の姉弟ですね。

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この姉弟の名前を聞くたびにいつも思うのは、平陽公主と衛青の年の差はいくつだったのかなあ、と。
平陽公主は武帝の姉ですが、武帝の妻の弟である衛青と結婚します。
武帝と平陽公主の間には、二人の姉がいるため、少なくとも3歳は離れていることになります。
一方、衛青は衛士夫の2番目の弟ですから、武帝よりも3つは年下になるでしょう。
おばさんが若い男を娶ったイメージしかなかったのですが、ドラマの様な割と見た目年齢が近めの夫婦だったんですかね。

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ドラマでは、平陽公主が衛青に対してかなり積極的にいきます。
これセクハラにならんの?と思ってしまうような描写も。

武帝と衛士夫は三十年を超える夫婦生活を送ったのに、無情すぎる別れはドラマでも変わりませんでした。

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衛青が生きていたら少しは違った展開になったかと思うと、殿上人の残酷さを感じますね。
孤独な青年皇帝だった頃、家庭のぬくもりを教えてくれた衛士夫は、三十年を経て息子ともども存在が空気でしかなかったのでしょうか。
なんだかロシアのイワン雷帝を思い出す。

ハッ…!もしかして武帝も晩年は統合失調症?

というわけで、武帝モノならコレがお勧めです。
動画視聴は見つけられなかったのですが、DVDはアマゾンで売っていました。

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